俺様先生と秘密の授業【完全版】

 
 ウチの高校の理事長兼、校長の、城田先生だ。

 そう言えば、さっき。

 校庭に入って来る時、天竜組に割られた窓ガラス群を、難しい顔して、じっと見てたっけ。

 今も、あまり変わってない、厳しい顔に、あたしは、慌てて頭を下げた。

「あたしのせいで、学校にすごい迷惑を……ごめんなさいっ……!」

「あなたが、暴走族を呼んで、学校を壊したんですか……?」

「いいえ!」

 あたしが、何か言う前に、吉住さんが、叫ぶように言った。

「俺達は、むしろ、被害者で……!」

 城田先生は、必死な顔の、吉住さんを見て……そして、あたしに頷いた。

「……この数日のことについて、私は、細かく聞いてます。
 大変でしたね?」

 えっ……?

 思いもかけない言葉に、先生の顔を良く見れば。

 さっきまで難しい顔をしていた先生の表情(かお)が穏やかな顔になっている。

「暴走族がやって来て、生徒たちが危険だったというのに。 
 電話が壊されていたり、ケイタイも妨害されていて。
 そのときすぐには、警察へ通報が出来ませんでした。
 今回の出来事は、学校側の安全対策の不備にあります。
 今後はもっと確実な防犯対策を練らなくては、いけません」