「うぁ、カッキー朝から、暗っら~~
 クラスメートに、敬語かよ。
 昨日の傷が痛むのかな~~
 大丈夫?
 ……って、いつも、そんな感じだっけ?
 ごめんね?
 あははは♪」

 ……なんか、超、腹立つしゃべり方なんですけど。

 だいたい、ヒトの名前を勝手にカッキーだなんてつけて、呼ばないでほしい。

 ……って、こっちの方も、いつもと変わらない。
 

 伊井田さんは、なれなれしく、あたしの肩をばしばし叩きながら言った。

「ねぇ、ねぇ、昨日さ。
 カッキーが早退してから、大変だったんだよ!」

 ……はいはい、その話ね。

 そら来た、とは思ったけど。

 あたしは知らないふりして、伊井田さんを見た。

「どうしたの?」

「暴走族が、学校を乗っ取ろう、と沢山押し掛けて来て!」

 ……まてまてまて。

 沈黙の狼は、学校なんて乗っ取りに来ないし。

「それを、保健の早瀬倉先生が止めようと、たった一人で暴走族と戦いに行ったのよ!」

 あれ、を戦った、と言い切りますか。

 本当は、昔のチームとの話がこじれて、一発殴られただけ、みたいな。

 後で聞いたところによると、どうやら。

 兄貴のコトをつい呼び捨てにして、殴られたって。

 超、間抜けな落ちで。