俺様先生と秘密の授業【完全版】

「そうよ!
 それに『水野小路』が、どんな所か知らないけど!
 カッキーだって、普通に頑張ってるのに!
 本人の気持ちも考えないで、いきなり否定は、無いでしょう!?」

 伊井田さんだ……!

 半袖を着ているのに、改めて腕まくりしたような迫力に、リーダーも、一歩下がる。


 すごく……嬉しかった。

 直斗と、伊井田さんの言葉が、怯えて固まったヒトたちのココロを溶かしてゆく。

 皆の意識を確実に変えて、前に進んでゆく。

 あたしのココロを、暖める。

 だけど……。

 だけども。

 あたし……

 二人のココロに。

 好意に、そのまま流されるように、素直に乗るワケには、行かなかった。

 なぜなら。

 例え、これから先。

 天竜組には、襲われなかったとしても……

 他の所から狙われるコトだってあるかもしれないのは、確かだったから。

 それは、あたしが『水野小路』の縁続きである限り、可能性があるっていうことで。

 今回は、たまたま。

 岸君以外の学校の生徒で、大きいケガをしたひとはいなかったけれど。

 次は、どうなるかが、判らない。 

 やっぱり、これ以上、迷惑をかけるわけには行かなかった。