俺様先生と秘密の授業【完全版】

「だって、こいつらの仲間が、土曜日に来て学校を壊して行ったんだ!」

「ちが……」

 あたし、違うって言いきろうとして、言葉が出なかった。

 だって。

 あたしのことを、『水野小路』だって判っているコ達か、怖がってる。

 このヒト達にとって、どっちも皆、一緒なんだ。

 その、怯えた視線が怖くて、それから先の言葉に詰まる。

 けれども。

 あたしの、セリフの続きは、この場に、すたすたと歩いて来た別のヒトが引き継いでくれた。

「こんなところで、何の騒ぎを始めたんだ?
 加月兄妹は、学校(ここ)を壊しにきた連中の仲間じゃねぇ、被害者だ。
 だから、その理不尽な追及は、やめろ」

 早瀬倉先生だ!

 嬉しい! 助けに来てくれたんだ……!

 早瀬倉先生は、あたしの方をちらっと見ると。

 さあ、授業が始まるまえに解散、解散、と。

 皆を教室に返そうとした、のに。

 クラスのリーダーは、踏ん張って、さらに言った。

「騙されんじゃ無いぞ!
 早瀬倉だって、ムカシは、暴走族の仲間だって、話じゃないか!
 悪いヤツは皆、まとめて、早く追い出さないと、今度はオレたちが危ないぞ!!」