俺様先生と秘密の授業【完全版】

 


 そして、月曜日の朝。

 悔しいほどに晴れた、空の下。

 あたしは、吉住さんと一緒に、学校に向かっていた。

 多分、コレが。

 ……最後の通学になるんじゃないかな、なんて思いながら。





 土曜日に、天竜組が学校に来て、暴れた。

 関東一円で、一番でっかい裏組織をまとめてる『水野小路』の縁続きを探しに来たんだ。

 たまたまその日、学校に来てた何の関係のない生徒に迷惑をかけた揚句。

 そのとき直斗と、岸君と、吉住さんが、殴られて。

 伊井田さんが、あたしの代わりに、連れさらわれて行きそうになったから。

 あたし。

 水野小路が自分だって、言っちゃったんだ。

 事件は、悪くない方に転がって。

 もう、あたしが『天竜組には』狙われることはなさそうだけど。

 岸君は死にかけるし、大騒ぎになった。

 今だって、校門から見渡せば。

 校舎の一階の窓ほとんど全てに、段ボールが張られ、割れた窓ガラスの代わりをしているのが見える。

 こんな器物損壊の責任を追及されれば、きっと、停学では済まない、と思う。

 子供たちによりよい教育を……なんて信念を掲げ、ウチの学校、梢城高を造り。

 理事長と校長を兼任してる城田先生が、壊れた窓を見ながら、白い髭を引っ張り、難しい顔をしていた。

 同じ梢城高の生徒同士だって、あたしと、吉住さんが校庭を歩けば、皆が、避けて通り。

 あちこちで、ひそひそ話が起こってた。