俺様先生と秘密の授業【完全版】

「……もし、この俺がちゃんとしたオトナで。
 本当に正々堂々と、戦うつもりなら。
 岸の病気がちゃんと治るまで。
 愛莉への想いは、抑えなくては、ならないんだと思う……だが、もうダメだ」

「……直斗」

「前に保健室で話したことは、ウソじゃねぇ。
 愛莉が、本当の本気で大事だから。
 オトナになる前にお前のカラダを奪うことはない。
 ……けれども。
 俺は、愛莉のココロがほしいんだ」

 そう言って、直斗は言葉と一緒にため息を吐きだした。

「……愛莉が、好きなんだ」


 ……好き、なんて。

 まるで、魔法みたいに紡がれるその言葉に、あたしの世界の全てが止まる。


 今まで、聞きたかった言葉だった。

 大好きな直斗に、一度でもいいから、言ってほしかった言葉だった。


「……好き」


 耳に響く直斗の声に、酔いそうだった。


 切なくて。


 愛しくて。


 ……涙が、出て来た。