俺様先生と秘密の授業【完全版】

「ま、スマートに勝てるとは思ってなかったさ。
 でも、愛莉の事は誰にも譲れねぇから……」

 言って直斗は、ふ、と目を細めた。

「どんなにみっともなくても、あがいても、俺は、もう絶対あきらめないって決めたんだ。
 一度は、相手が俊介なら……なんて。
 身を引こうと思ったけれど、だめだった。
 天竜に、愛莉が刺される寸前、心が壊れそうだった。
 そして……」

 どき。

 直斗の視線が、切なく翳(かげ)り、あたしを見つめた。

「岸が、愛莉に代わって刺されたとき。
 俺は、確かに岸に嫉妬してた。
 なんで、愛莉の代わりに刺されたのが俺じゃなかったんだろう、って、な」

 どき……どき……

 強い、そして、少しさびしい直斗の視線に。

 あたしの心臓が、跳ねあがる。

 大好きな直斗に見つめられて、顔がほてる。

 そんなあたしの状態を見通しているのか、どうか。

 直斗は、自分から微妙な位置に離れて居るあたしをそっと引き寄せた。