俺様先生と秘密の授業【完全版】

 そして、直斗は。

 胸のポケットから、タバコを一本取りだすと、美味しそうに、吸いだした。

 そんな。

 海を眺めながらタバコを吸う、直斗の横顔がとてもきれいで。

 想わず、じっと眺めれば。

 直斗は、タバコを消しながら言った。

「……愛莉も座れよ」

「……ん」

 直斗に誘われるまま。

 直斗に触れるかどうかの微妙に離れた、その距離に、ぺたん、と腰をおろした。

 そんなあたしをを見て、直斗が、そっと、笑う。

「……岸に、愛莉をたのむって言われちまったな……」

「……嫌?」

「……まさか。
 岸もそう簡単に、譲ってくれるとは、思ってなかったし。
 ヤツの回復を待って、正々堂々と戦うつもりだったんだ」

「……戦うって、本気だったの?
 岸君、案外強かったから、正面から行ったら、たぶん。
 直斗なんて、ぴょい、とやっつけられちゃうかもよ」