俺様先生と秘密の授業【完全版】

「別に。
 良いコト嬉しいことばっかりで、未来は、バラ色じゃない。
 これで一体、何を泣かなくちゃ……」

 ……いけないのよ。

 ……と、続くはずだったあたしのセリフをもぎ取って、直斗が声を出した。

「昨日の今日で、岸は、そろそろ休まねぇと、な。
 他のヤツらも疲れてるだろうし。
 そろそろ、解散しようぜ?」

 ……ち、ちょっと!

 直斗の言ってるコトは、もっともだったけど、なんかすごく、強引じゃない?

 ええっ!? って驚いているうちに。

 直斗は、ばたばたと支度をして、全員を岸君の病室から追い出しにかかる。

 そして、まず。

 吉住さんと、伊井田さんが出ていき。

 続いて、出て行こうとする直斗を。岸君は引き止めた。

 そして。

 ふ、と小さく笑い、次の瞬間には、とても真剣な顔をして直斗に言った。



「早瀬倉。
 愛莉さんを、頼むーーー」