俺様先生と秘密の授業【完全版】

「うん……そうだね……」

 泣いているあたしの背をぽんぽん、と優しく叩いて、岸君は笑った。

「未来を考えることは、痛いこともあるけど、楽しいよ。
 単車にも一杯乗りたいし。
 元気になれば、女の子もいいけど。
 それより先に、一緒に遊んでくれる、同性の友達が欲しいな。
 東屋も大好きだし、親友だと思ってるけど、やっぱり、ねぇ」

 うん……そうだね。

 今まで、岸君。

 男子には、イジメられていただけで、ちゃんとした友達、いなかったもんね?

 でも、きっと。

 頭をあげて、未来を見ることのできる岸君にだったら。

 いつか、ぴったりな友達、出来るよ。

 絶対に。

「……まずは、病気、治さないと、ね?」

 ようやく、涙が落ち着いたあたしに、岸君は、明るく笑う。

「頑張る」

 と。

 彼が、親指を立てた時だった。

 こんこんっと、せわしないノックが病室に響き。

 返事も待たずに、がちゃっ、と扉を開け、飛び込んで来たヒトがいた。