その、夜が明けて……午後。
面会時間を見計らって、あたしは一人で岸君の病院に、来た。
本当は、直斗と、吉住さんと、伊井田さんが一緒に行くって言ってたんだけれど。
あたしをかばってくれた岸君の様子が、とっても気になったことと。
もし、調子が良いなら。
ちょっとだけでも良いから、岸君と二人だけで、話もしたかったんだ。
……けど。
夜、運び込まれた病院の、集中治療室に岸君はいなかった。
出血が多く、呼吸が止まりかけて、文字通り、岸君は死んでしまう寸前だった。
それでも、直斗が、ちゃんと岸君の持病と、その時の様子を細かく連絡してたから。
病院に滑り込んだ時には、お医者さんと、看護師さんの一団が待ちかまえてて。
寄ってたかって岸君の処置をしてた。
それでなんとか持ち直して。
朝にかけて、容体が急に変わらない限り、岸君は、絶対助かるって言ってたのに……!



