日付の変わった夜の闇の中を。

 任務を成功させたはずの、沈黙の狼と天竜組は、まだその走りを止めなかった。

 互いに、目指す場所は、一つ。

 四年前の今日、大きな事故を起こして、両方のチームから沢山の犠牲者を出した。

『あの道』に一番近い、峠の駐車場だ。

 あたしたち、病院へ岸君を送りに行った最速チームが、到着したころには。

 様々な後片付けを終わらせた残りの沈黙の狼と、天竜組のメンバーがそれぞれ、兄貴と天竜さんを先頭に、待っていた。

 吉住さんの四輪車が、止まった途端。

 東屋さんが、助手席から飛び降りて、天竜さんに駆け寄った。

「疾風が無事に……!」

 そして、そのまま声を詰まらせて、泣きだした。

 そんな東屋さんを、天竜さんは優しく抱きしめ、直斗を見た。
 
「世話になりました」

「……別に、お前のためにやったわけじゃ、ねぇけどな」

 東屋さんの次に出た直斗は。

 車によりかかり、タバコを取り出すと、美味しそうに、ふかした。
 
「職業柄、絶対、とは言えないだろうが。
 今後は、無茶な争いは是非控えてくれ。
 あんな、生死の境、ギリギリで仕事をするのは、二度と、ごめんだ」