俺様先生と秘密の授業【完全版】

 

 夜の街を。

 黒と深紅の暴走集団が、一緒に疾走していた。

 深紅のバイクが、けたたましい音を響かせ、一般車両を蹴り散らかし。

 続く黒い無音のバイクが、広げた道を。

 岸君の乗る四輪車が駆ける。

 病院に向かって。




 天竜組の事務所が、民家のない郊外にあることを考えると。

 沈黙の狼と、天竜組の連携走が救急車よりも早かったんだ。

 そして、今、二つの宿敵同士が。

 今にも消えそうな岸君の命を繋ごうと、一丸になっていた。

 病院への連絡と、岸君の様子を見るために。

 あたしと一緒に後部座席に引っこんだ、直斗の代わりに。

 吉住さんが、車の運転を担当し……

 助手席には、天竜組総長の東屋さんが乗っていた。

 狼と天竜の、意外に息のあった連携で出来た道を、そんな車が走ってた。

 少し前までは、絶対に考えられない組み合わせの、チームワークに驚いたのか。

 吉住さんは、運転しながらひゅ~うと、口笛を吹いた。

「この切羽詰まった状況で、口笛なんて!
 犬の……狼のトップって、のんきよね!?
 ……『沈黙』が聞いて呆れるわ!
 あんた、疾風が心配じゃないの!?」