俺様先生と秘密の授業【完全版】

「はや……て?
 まさか……なん……で……?」

 ようやく自分が刺したヒトが、誰だったのか、気がついたらしい。

 天竜さんが、がくっと地面に膝をついて、地面に横たわる岸君の顔を覗き込んだ。

「疾風?
 疾風、疾風、しっかりしろ!
 なんでお前が、こんな女をかばうんだ……!」

 そんな、天竜さんの声に、ようやく、岸君がつぶやいた。

「……好き、だから……」

「……疾風」

「愛莉さんのこと……愛してる……
 だけど……ね。
 オレ……叔父貴のことも……大好き……だから……
 ……二人が……争っちゃ……ダメ……だよ……?」

「だからって!
 だからって、こんな!!」

 叫ぶ、天竜さんに、岸君は、ふふふっと力なく笑った。

「愛莉さんを……庇うんじゃなく……
 叔父貴を……殴った方が……無難だったね……?
 ……だけど……オレ……
 愛してるヒトのために……戦えるように……なったけど……
 やっぱり。
 ……大好きなヒトは……殴れないよ……」

「疾風!」

「今度の……叔父貴とのツーリング……
 ……また……行けそうに……ないね……?
 楽しみにしてたのに……ごめん……ね……」

 しゃべる事さえにも、力尽き、目を閉じてしまった岸君に。

 天竜さんは、喉が裂けるかと思うほどの声で、叫んだ。


「疾風!!!!」