俺様先生と秘密の授業【完全版】

 

 うぁ~~!!

 うぉ~~!!!!


 狼たちが消えたはずの場所から、叫び声と、怒号が飛び交った。


 それが、庭全体に設置された超巨大な落とし穴だと判るまで、しばらくかかった。

 庭を埋め尽くした狼たちが。

 東屋さんが、綱を切ったとたん。

 いきなり、出現した穴に落ちて、もがいた。

 その深さは、ヒトの背丈をだいぶ超えていたから。

 実際に落ちた狼の数は、全体の半分ほどだったけれども。

 無事な狼たちも予想外の出来事にパニックを起こして、右往左往していた。

 そして、兄貴も。

 そのハンパない規模の出来事に、何が起きたのかと、後ろを振り返り。

 自分の足元すぐにまで迫った深い穴をつい、見てしまった。

 その時。

 後ろから迫った天竜さんに、力一杯、穴に向かって押された。

「うぁ……っ!」

 兄貴が穴に落ちる寸前。

 バランスを取る為に思わず放した、あたしを、天竜さんはうばうように、さらい。

 更に兄貴の背中を蹴ったから。

 穴には、兄貴だけが落ちてゆく。