「……ほい。
 応急手当、終了。
 あとは、病院に行ってちゃんと処置してもらいな」

 がちゃん、と。

 基本はピンセットの親戚みたいで。

 小指~針先ぐらいまでの、いろんな大きさの器具をひとそろい。

 膿盆(のうぼん)に放り込むと、先生はやれやれと、あたしに伸しかかっていたカラダをどけた。

 そして、ガラス窓に突っ込み、無数の破片で傷ついてしまったあたしの腕をもう一度眺めて。

 カラダの中に破片が残ってないことを確認すると。

 今度は、清潔なガーゼで覆い、固定しながら言った。

「判ったか?
 もう、腹をたてても、窓なんかに当たるんじゃないぞ?
 ガラスが割れたら、痛いんだから」

「……うるさいな」

 めっちゃくちゃ痛かった、腕の治療がやっと終わり。

 ようやくほっとして、思わず出た本音に。

 養護教諭……保健室の先生である、早瀬倉直斗(はせくら なおと)先生は、ちらっと額に青筋を浮かべると。

 応急手当に、突き刺さったガラスを抜いたばかりの腕をツンツン、とつついた。