俺様先生と秘密の授業【完全版】

 それは、もしかしたら。

 並はずれて、強い意志を持ち。

 大勢を率いる、強いカリスマを持つ彼らは、魂の双子なのかもしれない。

 出会い方さえ違えば、もしかしたら、仲の良いお友達同士にでもなれたのかもしれない。

 けれども『それ』は、都合のいい妄想でしかなく……今、彼らは。

 それぞれの大事なモノを賭けて、戦おうとしていた。

「……では、お前は何が望みだというんだ?」

「まずは、お金がほしいですね」

「案外、低俗なモノを欲しがるんだな」

 兄貴の言葉に、少し肩をすくめると、天竜さんはぎらり、と笑った。

「君は、霞(かすみ)を食べて暮らしているのかもしれないですが、僕たちは、違うんです。
 良いですか?
 この女(ひと)の身代金は……」

 うぁ……

 日本円にして、軽く十億円は突破している額を、海外の銀行に振り込め、との指示に。

 あたしは、めまいを起こしそうになった。

 けれども、兄貴は。

 なんだ、そんなものか、と不機嫌そうに鼻を鳴らすと、どこかに、電話をかけた。

 そして、あまり待たずにかかって来た電話に短く答えると、天竜さんを睨む。

「……振り込んだぞ」