俺様先生と秘密の授業【完全版】

 怒鳴る天竜さんに、直斗は、静かに話した。

「本当は、お前も、もうダメだと思っているんだろう?
 なのに、なぜ、そんなに意地を張るんだ?
 昔のお前は、どこか。
 俊介や、俺との勝負を正々堂々とやって、楽しんでいるところもあったのに。
 今じゃ、直接、オトナの争いには関係ない子供を人質に使うのか?
 ……そうまでして、何を手に入れようとしているんだ?
  金か? 地位か? 女か?
 しばらく見ないうちに強欲になったな。
 いい加減にしないと、全てを失うことになるぜ?」

 からかったり、蔑んだり、って言うより。

 直斗の言葉には、どこか、宿敵のはずの、天竜さんを心配する響きがあった。

 それを見つけたのか。

 天竜さんは……ぼそりと言葉を綴る。

「女は、要りません。誠さえいれば。
 金は、欲しいですね。疾風の命を購(あがな)うために。
 ……地位は……」

 言って、天竜さんは、ぎらり、と直斗を睨みつけた。

「高ければ、高いほどいい。
 そして、それは、自分の手で、もぎ取るものでしょう?」

「天竜!」

 咎めるように叫ぶ、直斗の声に、天竜さんは笑った。