いつの間にか、陽が暮れていた。
天竜組の事務所の周辺には、民家が無い。
囲まれた雑木林に。
そして、やって来た、夜の闇にまぎれるように。
ナイフや鉄パイプといった牙と爪。
バイクといった大地を自由に駆けるカラダを持った狼たちが佇んでいた。
咳払い一つなく、ただ事が起こるまで、狼たちは沈黙し続ける。
もし、敵がその数を正確に把握できても、その多さに肝を冷やすだろう。
しかし、今夜、月は無い。
街灯にも程遠い、濃い、闇は。
敵の妄想の中で、狼の数を更に増やすはずだ。
やがて。
バイクの一台が、うぉーんと遠吠えをあげた。
それを合図に、狼たちは、沈黙したまま、しなやかに歩きだす。
神出鬼没の天から。
地上に堕ちた、竜をむさぼり喰らうために。



