俺様先生と秘密の授業【完全版】

 直斗の顔を確認して、天竜さんは、目を細めた。

「……ドコのこそドロかと思ったら、直斗さんじゃないですか。
 沈黙の狼を引退して、どこかの学校で、教鞭(きょうべん)をとっているって聞きましたが。
 過去の悪行がバレてクビになったんですか?
 それで、今は、犬の使いっ走りをしてるとか?」

 うぁ~~

 なんて、嫌味な言い方。

 口調がやたらに丁寧なもんだから、聞いていると、なんだか余計腹立つ!

 でも、直斗の方は、そんなセリフを予測していたのか、特に怒りもせずひょうひょうと答えた。

「なに。家庭訪問に来たのさ」

 そう、うそぶいて、肩をすくめた。

「お前、昔っから、口の悪いやつだと思ってたが、最近は、態度も頭も悪いのな……?
 藤沢組(じぶんのところ)と水野小路会の大きさの差を考えてみろ。
 女、人質にして、水野小路に話を通そうとしても。
 却って、火に油を注いで、ぷちっと潰されるのが落ちだと思わないのか?」

「やっぱり、君は、腹立つヒトですね。
 暴走族の仲間でいたのは、ただ走りたかっただけの子供の遊びで。
 信念もなく、拳もまともに握れなかった君に、そんな事を言われる筋合いはないです」

 天竜さんは、不機嫌そうに顔をしかめた。