俺様先生と秘密の授業【完全版】

 そこまで、誠さんが言った時だった。

 低い、男の声が、誠さんの声をさえぎった。

「誠。
 お客さんがいらっしゃる前で、あんまりウチの内情をしゃべるもんじゃ、ないですよ?」

 静かな……ううん。

 いっそ、穏やか、と言っていもいい。

 やっぱり、この場には合わない丁寧な口調をたどれば……そこに。

 新たな男(ひと)が、来た。

 彼が近づくと、天竜組の組員は、一礼して下がる。

 あっという間に、山ほどいた天竜組員の一番後ろから、前に出て来た人は。

 今まで、あたしが見たことのない風貌をしていた。

 銀色の、長い髪。

 深紅の……瞳。

 そして、年のころは、銀髪でかなり上かと思いきや……よく見ると。

 直斗や、兄貴と同じくらいみたいだ。

 彼らに負けないほど整った顔だちをした。

 明らかに、そこらのサラリーマンとは違う。

 白いスーツの派手な男(ひと)と直斗は、顔見知りらしい。

 彼は、にやり、と笑って、気軽に言った。

「よ、天竜。久しぶり」

 て……天竜って……?

 このヒトが……岸君の叔父さんで。

 藤沢組、組長。


 そして、天竜組の初代総長の……藤沢 天竜さんだったんだ。