俺様先生と秘密の授業【完全版】

「私のカラダを、完全に治すんだって。
 諦めてた身内の反対を押し切り。
 私を田舎から街に連れ出してくれた、藤沢の叔父のコトが、好きだよ。
 事情を全部知っても、なお。
 体調の関係で、走る約束を破りがちな私と。
 一緒に走ろうって誘ってくれた、東屋のコトが、好きだ。
 ……特に、あの東屋(ばか)は、私が途中。
 どこで動けなくなっても、すぐに帰って来れるように、天竜組を自由に動かすことのできる『切り札』なんて作っちゃって……
 組を私用に使いすぎだ、っていうのに」

 ああ、そうか。

 基本は一人。

 夜の道を走っているっていう岸君にも……ちゃんと、仲間や、心配してくれる人がいて。

 岸君も、その人たちのコト、好きなんだね。

 天竜組の組員とは、すれちがってしまったみたいだけども……

 これなら、岸君が天竜組を裏切るなんて、コトは、あり得ない。

「私が学校で、イジメられていた時に。
 身体を張って、守ってくれた、愛莉さんのコト……
 私……オレ……ココロから愛してる。
 オレの中ではどちらもすごく、大事だったから。
 二つの集団の間がこれ以上険悪にならないように、動いてみようと思ったけど……難しいね?」

 そう言って、岸君は、大きくため息をついた。