俺様先生と秘密の授業【完全版】

「そこでゲンコツを固めなくって良いってば!
 もう、そんなに痛くないから!
 ほら、直斗は、保健室の先生だけどお医者さんじゃないでしょ?
 ガラスの破片は、きれいにしたけど、念のために、病院に行けって!」

 ……って、兄貴、全然ヒトの話、聞いてないし!

 兄貴は、家の車は、呼んであるから、到着次第、すぐ病院に行こう、と青ざめている。


 早瀬倉先生の電話をさっさと切って、到着の速さを優先したから。

 ケガの様子が、判らず。

 あたしが、バイクの後ろにつかまって居られない事を考えた……らしい。

 ウチが所有しているもののなかで、一番大きい車が。

 ごく普通のファミレスに横付けされた。



 ……リムジン。


 しかも、一番大きいタイプで、一般車の倍はあるような。

 それが、高級フランス料理店ではなく、ごくフツーのファミレスに入って来たから、目立つ、目立つ。



 ええ~~ん。



 何で兄貴ってば、ヒトの目とか、気にならないんだろう。


 沈黙の狼達だけじゃない。

 ファミレスにいるヒトも、通りの向こうの先生もみんなが、目を点にして全注目してるのに。