思いのほか、吉住さんが、騒いだことは内緒だったけれど。
なんとか無事に手に巻きついた縄をはずし。
予想道理、チャチかった部屋のカギをこっそり開けると、そこからは、長い廊下が続いていた。
あたしたちがこんなに素早く、部屋を出ることを予測してなかったのか。
それとも、別に理由があるのか。
こっそり覗いた部屋の外には、特に見張りはいない。
そのかわり、すぐとなりの部屋では、天竜組のヒト達が何人か集まっているらしく、話声が聞こえた。
「……あれほど、疾風には手を出さないで、ってお願いしたのに!
殴ったヒトは、誰!?」
可愛い、女の子の声だ。
ちょっと鼻にかかった、我がままそうな話し方に、側にいた天竜組のヒトが困ったように応えた。
「……ですが、東屋さん、あの状況では仕方なかったんスッ」
東屋さん!
今、天竜組を率いている総長さんの名字に。
このまま、廊下を横切ろうとしたあたしたちは、こっそり中を覗いてみた。
すると。
レースを一杯使った、ピンク・なんとかっていうブランド服を身にまとった女の子がいた。



