「……まさか……直斗。
ライターの火で、焼き切る……の?」
あたしが見た限り、みんなを縛っているのは、あんまり太くはないとはいえ、結構丈夫そうな綱だ。
火で直接、炙れば。綱が切れる前に、手の方が先に焦げる。
無茶なことは、やめようよ……って言いかけたあたしに、早瀬倉先生は、言った。
「まさか。
タバコを一服、しようかと」
「直斗……っ!」
まったく、こんなときに、何を言い出すのよ!
のんきな直斗の言い草に、あたしは思わずキレかけた。
「タバコなら、無事に出られたら、吸えばいいでしょっ!
『喫煙所』でだったら、いくら吸っても、とめないわよっ!」
「……いや。
出たときに、至福の一服ってヤツが出来るぐらい、残ってるか謎だな……
全部使っても、きっと、縄を一本、切るのにギリギリだ」
「……え?」
その言葉に、首を傾げたあたしに、直斗はにやり、と笑った。
「ライターの火じゃ、炎が燃え広がって火傷するだろうけど、タバコの先端の火だったら。
少しは、マシに調節が効くんじゃないか?」



