俺様先生と秘密の授業【完全版】

「……なんで、そんなコトが判るのよ?」

「ここが、岸君の家、だからよ。
 ……たしか、昨日か、おとといまでの……」

 あたしの答えに、伊井田さんは目を丸くした。

「……え?
 それじゃ、わたしたちを、ここに連れて来た迷惑なヒトビトの?」

「そ、縁続き、だって。
 ここの一番偉いヒトが、岸君の叔父さんみたいで……」

「へええええ。あの岸君がねぇ。
 ヤンキーなヒトビトとかかわりがあったなんて、知らなかった。
 ソレにしては、岸君すごく殴られてたよね?
 最後は、殴り返してたけど」

「色々事情があるのよ。
 あたしだって、最初に岸君のコトを聞いたときは、びっくりしたもん」

 心から驚いているらしい、伊井田さんの声に、あたしも頷くと。

 彼女の目が、きらりん、と輝いた。

「……でも、もっと驚いたのは、カッキーの正体よね?」

「……え?」

「水野小路、ってさ。
 ニュース番組でやくざさん、とか暴力団さんとか、そういった関係の話が出ると。
 必ずっていいほど、聞く名前じゃない?
 カッキーは、そこの……誰の、妹、だって言うのよ?」

「……」

 ……そりゃあ、ね。

 あの騒ぎで、伊井田さんが何も分からないはずがなく……

 とうとう、あたしの一番嫌だなって思ってた瞬間が、来た。