俺様先生と秘密の授業【完全版】

 兄貴は、もう、目の前にいて。

 手を伸ばせば届くくらいにいるって言うのに!

 天竜組リーダーの『出せ!』って言う一言で。

 兄貴とあたしのその距離は、急速に離れていく。

「お兄ちゃんっ!!」

「愛莉待ってろ!
 オレがすぐに、迎えに行く!」

 あたしの、乗った天竜組のワゴン車のあとを追おうとする兄貴の前に、足止め係が、邪魔をする。

 蹴散らしても、蹴散らしても、邪魔をする天竜組を更に蹴散らして。

 兄貴は怒り狂った獣みたいに咆えた。

「……愛莉を連れ去り、オレのゆく手を阻むヤツらども!
 全員、まとめて殺してやる……!」