ふっきれた岸君は、強かった。
しかも、岸君自身の名前の『疾風』のように素早く動くスタイルは。
吉住さんの、どっしりと、腰を落ち着つけて拳を放つやり方とはまるで正反対だったけれども。
あたしと、伊井田さんを挟んで、壁を背にし、互いを互いで守る。
二人は、コンビを組むのが初めてだとは思えないくらい、息のあった戦いぶりを見せていた。
敵は、呆れるほど多く。
味方は来る気配がない。
けれども、次々決まる、岸君とのコンビネーションに、吉住さんは楽しくなったらしい。
「やりゃあ、出来るじゃないか、臆病者!」
吉住さんが笑って言った言葉に、岸君はうるさい、と明るい表情で返す。
どうやら、岸君の方も、調子が良いらしい。
だから、絶対。
二人は、沈黙の狼がやって来るまで大丈夫、だと思った。
まだ、目のさめない直斗も含めた五人、全員が狼に助けられると、思ってた。
……のに。
現実は、そんなに甘いものじゃなかった。
しかも、岸君自身の名前の『疾風』のように素早く動くスタイルは。
吉住さんの、どっしりと、腰を落ち着つけて拳を放つやり方とはまるで正反対だったけれども。
あたしと、伊井田さんを挟んで、壁を背にし、互いを互いで守る。
二人は、コンビを組むのが初めてだとは思えないくらい、息のあった戦いぶりを見せていた。
敵は、呆れるほど多く。
味方は来る気配がない。
けれども、次々決まる、岸君とのコンビネーションに、吉住さんは楽しくなったらしい。
「やりゃあ、出来るじゃないか、臆病者!」
吉住さんが笑って言った言葉に、岸君はうるさい、と明るい表情で返す。
どうやら、岸君の方も、調子が良いらしい。
だから、絶対。
二人は、沈黙の狼がやって来るまで大丈夫、だと思った。
まだ、目のさめない直斗も含めた五人、全員が狼に助けられると、思ってた。
……のに。
現実は、そんなに甘いものじゃなかった。



