そして、見た。
学校に起こったことを……
被害は保健室だけじゃなかったんだ。
校庭側に面した一階校舎の窓ガラスのほとんどは、割れていた。
みんなで大切にしていた花壇も踏み荒らされてる。
そして、校庭には、天竜組。
真紅の特攻服に、竜の尻尾みたいな、長いたすきや、鉢巻をひるがえしてバイクを乗り回し。
今日学校に来た生徒を全員集めて、地面に座らせていた。
そして、校庭に止まっているワゴン車二台の前に、みんなが引き出されて来る所が、見えた。
吉住さんは、両脇を、身体の大きな天竜組員二人にがっちりと固められ。
伊井田さんは、乱暴に手を引っ張られていた。
傷は、頭だったのか。
一応包帯を巻かれている直斗は、意識が無いらしい。
天竜組員に、華奢な身体を全部預け、まるで、荷物のように担ぎ上げられていた。
「直……!」
思わず、我を忘れて叫ぼうとした時。
もっと酷くやられてるヒトが連れて来られた。
「岸君……!」
そう。
天竜組を辞めた彼は、かつての仲間に思い切り殴られていた。



