俺様先生と秘密の授業【完全版】

 大勢が、どやどやと出て行くと、保健室は、急に静かになった。

 目的は、達成されたから、なのか。

 もう、保健室とベッド室には誰も残っていないみたいだ。

 あたしは、怖いのを我慢して、おそるおそる、ベッドの下から出て、その惨状に驚いた。

 かなり、大きな音が続いたから、半分予想はしていたけれど。

 保健室はひどい状態だったんだ。

 校庭側に面した窓ガラスは、割られて粉々になっていた。

 早瀬倉先生が、いつもきちんと整理していた薬品戸棚には、穴が開き。

 中にあったビンから、消毒液が滴っている。

 テーブルは半分に割られて、さっきまで、乗っていたバイク雑誌は引きちぎられていた。

 そして、その周辺に、かなり多くの血の跡を発見して……泣きたくなった。

 多分これは……早瀬倉先生の……直斗の、血だ。

 天竜組のヒトは『鳥』が動け無くなった、と言っていた。

 どれだけ、ひどいケガなんだろう?

 まさか、死んじゃうほど大変な傷だったら……!?

 あたしは、いてもたってもいられずに、そっと割れた窓ガラスに近づいた。