俺様先生と秘密の授業【完全版】

「ヒトの恋路を邪魔するヤツは、馬に蹴られて、死ぬんだと。
 せっかく、ヒトが楽しもうとしていれば……無粋なヤツらだな。
 出ていけ」

「なんだ、コイツ!」

 わっ、と天竜組のヒトが、ベッドの前に集まり、囲んだ。

 そして、中の一人が叫ぶ。

「コイツ!
 クソ犬トップの吉住 猛だ!」

「……吉住って?
 ダーリン、どういうこと?」

 事情の判ってない伊井田さんの質問に。

 吉住さんは、静かに声を出した。

「あとで説明しますから。お嬢さんは、黙っていて下さいね?」

 そんな声を聞きとがめて、天竜組のヒトが怒鳴る。

「お嬢さんだぁ?
 やっぱり、そいつが水野小路の妹じゃねぇか!
 ……みんな!
 見つけたぞ……!!!」

 この声に。

 天竜組の全員が集まって来るようだった。

 そして、中の一人が嘲笑(ちょうしょう)する。

「ベッドの中で、番犬ごっことは、楽な仕事をしてるじゃないか。
 クソ犬たちは数が多くても、一枚岩じゃねぇ。
 トップが四人居るから四つに割れてるって話だろ?
 水野小路の妹を口説いて、族全体の掌握を狙ったか?
 お前自身の野望も消えたな……
 え? 吉住さんよ?」