俺様先生と秘密の授業【完全版】

 
 沈黙の狼に入ったばかりなら、まだ味方に信用無く。

 天竜組では、裏切り者扱いなら……

 岸君は、街を歩くだけでも……とても危険じゃないの!?

 兄貴が、岸君を追い詰めて、潰す……って。

 まさか、こんなことだったなんて。

 信じられないけど……ありえることだった。

 無事に帰ったら、兄貴に止めさせないと!

 例え、兄貴のことが怖くても、譲れない!


 天竜組のヒトビトは、保健室のあちこちを蹴りつけながら。

 けれどもカーテンで仕切られたベッド室には、目もくれず、どやどやと帰ってゆく。

 助かった……?

 これで、天竜組が帰ってくれるなら……

 そう、ため息をつきかけた時だった。

 天竜組の最後の足音が……

 止まって、ふと、言った。


「お前、昔。
 クソ犬……いや、沈黙の狼にいなかったか!?」

 ……え?

 このヒト、直斗のことを知ってるの?

「知らないな。
 ヒト違いじゃないのか?」

 早瀬倉先生は、淡々と答えたけれど。

 その最後の天竜組は、興奮して叫んだ。

「そうだよ、思い出した!!
 てめえは、クソ犬の四代前の副総長の『鳥』じゃねぇか!!!!」