俺様先生と秘密の授業【完全版】

 乱入者の言葉に、早瀬倉先生は、嗤う。

「水野小路……?
 そんな、名字の生徒は知らねぇぜ?」

「てめ! 隠すとタメにならねぇぞ?」

「在校生名簿を見せてやってもいいが、そこらの生徒に聞いてみろ。
 そんな派手な名字のヤツが、本当にいたら、誰か一人くらい知ってるヤツがいるだろ?
 ……探しても、出て来ねえよ」

「おい、調べてこい」

 自信を持って言った早瀬倉先生の言葉に、不安になったらしい。

 リーダー格の言葉に、二つほどの足音が、遠ざかった。
 
「正確じゃない情報を元に殴り込んで来るとは、なんて迷惑なヤツらだ。
 それにそもそも、ヒト探しなら。
 こんな登校して来る人間の少ない土曜日ではなくても、良いだろうに」

 呆れたような早瀬倉先生の言葉に、天竜組のリーダーは、吠えた。

「るせえ!
 水野小路の妹が確かに今日。
 ここに通ってくるって言う情報が、あったんだ!」

 そう、怒鳴って、小声でつぶやく。

「ぜってえ、あいつの妹を捕まえて。
 明日のクソ犬共の追悼走最終日には、恥をかかせて!
 ……ぶっ殺してやるぜ!!」