「早瀬倉さんっ!
 愛莉さん見つけたら、すぐ連絡くれなくちゃ、困るじゃないですか!」



 扉が勢いよく開いて、伊井田さんをお供につけた吉住さんが、保健室に、飛び込んできた。

 そんな、吉住さんに。

 直斗は、おう、すまんなって、直斗は片手を上げ。

 伊井田さんは、ぶつぶつと文句を言った。

「なによぅ~~ダーリン~~
 ず~~っとカッキーの心配ばかりしてぇ。
 学校だし、しかもお休みの日よ?
 部活動で忙しい生徒(ヒト)しか、こんなところに来ないし。
 何が、キケンだっていうのよ?
 もしかしなくても、猛さん、シスコンよね?」

「俊介より、マシ」

 こっそり突っ込んだ直斗の言葉に、あたしは、ちょっと笑った。

 ……そりゃ、そうよ。

 吉住さんは、お仕事なんだもん。

 その、お仕事に一生懸命の吉住さんは、いやに真剣な顔をして,大股で近づいてきた。

 伊井田さんを振り払うと、あたしと直斗に小声で言った。

「俺の情報屋から、急報が入りました。
 天竜組の一団がこの学校に向かっています。
 数は、単車二十、四輪二。到着まで、あと五分ってとこです。
 目標は、愛莉さんでしょう。
 狼と水野小路には連絡済みで……味方の到着まで、二十分、です」