俺様先生と秘密の授業【完全版】

 この集団もまた。

 音も無く駐車場に入って来ると。

 兄貴は、バイクを降りて、フルフェイスのメットを取った。

 途端に。

 四年間ハサミを入れてない長い髪が、さらさらとこぼれて落ちて。

 沈黙の狼だけじゃなく、先生たちも、一瞬息をのんだようだった。

 髪が長くて整った顔だちをしているのだけども、女の子みたいな甘さが、ひとかけらもない。

 兄貴の半端じゃない迫力に、気圧されたんだ。

 身長は180cmに満たないし。

 体重だって、70キロに届かない。

 貫禄があって目立つ、っていうタイプじゃない。

 だけど。

 来ただけでその場の雰囲気が変わるほどの迫力がある。

 そんな、兄貴が。

 この騒ぎに、不機嫌そうに眉を寄せたのが、見えた。