だから。

「山川さん、着替え、ありがとね。
 おかげですごく気持ちいいよ。
 あたし、今まで完全に眠っちゃってたから、重くて大変だったでしょう?」

 なんて。

 なんの気もなく、言ったあたしのお礼に、山川さんは、手を振った。

「いいえ?
 わたくしは、何もしてませんよ?
 朝来たら、寝巻が出ていたので、洗濯室に運んだだけですから」

 ……って。

 えええええっ!

 パジャマ、変えてくれたヒト、誰!

 兄貴?

 ううんっ!

 あたしを起こさず、器用に着換えさせたあたり、きっと、直斗だっ!

 あたし、夜寝るときは、ブラつけない派、なんですけど……っ!

 見た?

 見たわよねっ!

 あたしの胸!!

 下がったはずの熱が、急上昇していく感覚に、頭がのぼせそうだった。

 山川さんが、あらあら、とつぶやいて、氷を取りに部屋を出ていく。

 うう~~直斗の大莫迦っ!

 今度、あったって絶対、お礼なんて言ってやらない!

 ひっぱたいてやるんだから!