……って、思ってたのに。

 薬が利いたせいか、ばっちり、しっかりあたし、眠ってた。

 次に気がつくと、朝で……って言うか、もう昼で。

 あたしの部屋には、直斗と兄貴の姿はなく。

 昼間、いつも通ってくれている、家政婦の山川さんが、あたしの世話をしてくれていた。

「兄貴と……直斗は……?」

 あたしの質問に、山川さんが、はい、と頭を下げた。

「俊介さまは、旦那さまから緊急の用事をお受けになられた、との事で。
 けさ早くお出かけになられました。
 早瀬倉さまは、愛莉さまの熱が落ち着いたから、と。
 先程、帰られました。
 それと、早瀬倉さまからご伝言を承っております。
『最低でも明日、明後日ぐらいまでは、学校はお休みしてください』との事ですが」

「そ……か」

 お父さんからの緊急の呼び出しって……

 兄貴は、また、どこかの組織との争いじゃなければ、いいなぁ。

 それに、直斗。

 さっきまで、居てくれたんだ。

 あたしは、熱のせいで、三日はお休みでも。

 早瀬倉先生は学校、完全に遅刻、だろうな……

 ……うん。

 熱も下がったし。

 汗をかいたパジャマもいつの間にか、新しいのと取りかえられてて、すっきりさっぱりしてる。
 
 すごく気分が良いから、明日にだって学校に行けそうだ。