俺様先生と秘密の授業【完全版】

 まさか……まさか。

 兄貴が、あたしをその。

 す~~す好き、だと思ってくれてたなんて……!

 そんなの、とても信じられなかった。

 だって……!

 兄貴は、前からあたしの甘いな、とは思ってたけれど。

 色々心配してくれるのは家族だからって思ってたし……!

 兄貴とあたしが本当に『兄妹』なのか、それとも『従兄妹』なのかは、判らない。

 兄貴も、苦しい心を抱えたまま。

 それでも、あたしの前ではいつも笑っていてくれたんだ。

 兄貴と直斗の言葉を聞いて、あたしは、ますます熱が上がってくる感じがした。

 あたしは、岸君と付き合うって決めたばかりで。

 他の誰かの想いには、応えられないじゃないのよ、莫迦!

 どっちも、『好き』だと思ったら、すぐ言ってくれないと判らないじゃないのよ……って。

 ……無理か。

 告白なんて、そんなに、ほいほいと出来るもんじゃない。

 言って、振られたらどうしようとか。

 今までの関係が崩れたらどうしようとか。

 ものすごく勇気がいることだもん。

 ただでさえ、大変なのに。

 直斗も兄貴もできなかったことなのに。

 それを宿敵の狼の前で言えた岸君は、すごい、と思う。