俺様先生と秘密の授業【完全版】

 そして今度は、兄貴の方が、かすかに目を伏せたのを見て。

 直斗は、言った。

「……お前、愛莉を自分から、なるべく遠くに引き離して、何もかもから逃げるつもりなんじゃねぇか?」

「オレが逃げる?
 莫迦な。
 オレは、今や。
 関東一円で、随一の規模を誇る水野小路会の顔だぞ?
 そんな事で一々逃げているわけにはいかない」

「じゃあ、まず。
 DNA鑑定でも何でもやって、事実にはっきり白黒つけろ!
 そして、俺と……いや。
 もたもたしているうちに、面倒なガキも一匹混じったから、俺『達』と、か。
 ……同じ土俵に出て来て、戦え。
 俺も、もう、逃げねぇから」