俺様先生と秘密の授業【完全版】

 ようやく、コトの重大さが判ったみたいだ。

 早瀬倉先生は、あたしをなんとなく上目遣いで見た。

「えええっと……っ!
 も一回電話して、やっぱり俺が送るから……とか。
 せめて、学校に来るにしても、地味~~に。
 一人で来い、とか、言った方が良いよな?」

 言って、またポケットから携帯を出したけど、今度は繋がらない。

 あせり出した早瀬倉先生を、あたしは、ため息をついて止めた。

「……もう、遅いわよ」

 そう。

 窓の外を見れば。

 とっくに、異変は始まっていた。

 黒い革のつなぎを着たライダーを乗せた、黒のバイクが二、三台。

 学校の職員用の駐車場に、滑り込んでくるトコロだったんだ。

 どれも、莫迦でかい排気量を誇る単車なのに、びっくりするほど音が無く。

 駐車場は、見る間にそんなバイクが、増えてゆく。

 それが、余計な物音ひとつせずに次々に整列し、静かなのが、かえって不気味だ

 鉄の統制がとれているその姿は。

 暴走族、というよりも、まるで軍隊のようで。

 周りにすごい威圧感を振りまいている。

 そんな、ライダーの背中についている、チームエンブレムを見て、早瀬倉先生は、ぐう、と唸った。