俺様先生と秘密の授業【完全版】

「愛莉?
 大丈夫か?」

 あたしの異変に気がついた直斗が、心配そうにするのを。

 大丈夫って笑って応えたけど、本当は。

 岸君が、兄貴にあたしのケガについて、どう喋ってたのか、判らないほど、辛かった。

 ほっとしたせいか、今までほとんど感じてなかった、左手の傷が。

 疼いて、熱を持ってる感じがする。

「愛莉、車に乗って横になれ」

 あたしを抱きしめて、直斗がささやく。

「う……うん」

 あたしの調子悪いこと。

 誰も気がつかないのに、直斗だけは、判ってくれた。

 保健室の先生だからって言ってしまえばおしまいなんだけど……

 ……くすん。

 直斗のこういうとこ、大好きなのに。

 キモチ、伝わらないのは……とても悲しい……

 本当は、直斗に頼るとダメになっちゃいそうでイヤだったけど。

 兄貴と岸君は、まだ話しに時間がかかるみたいだった。

 諦めて、直斗に、車まで連れて行ってもらおうとしたら。

 いやにはっきりとした岸君の声が、辺りに響いた。

「オレ、加月さん……いいえ、愛莉さんのこと、本気です。
 もし、許されるなら。
 これから、ちゃんと付き合っていきたいです」

 って………?


 ええええええっ!