まるで。
岸君のつぶやきを聞いていたかのように。
兄貴は、すぐあたし達を見つけると、まっすぐこっちに向かって歩いて来た。
そして、その声があたしを呼ぶ。
「……愛莉」
いつも、あたしと一緒にいる時に聞く、優しい、少し甘えた感じの話し方じゃない。
どちらか、というと、よそ向きの、低い声だ。
……これは、相当、怒ってる。
「今日の放課後、一緒に病院に行く約束だったよね?
僕は、約束をすっぽかされることが、一番キライだ」
しかも、怒鳴らないだけ、迫力増してるんですけど。
めったに聞かない兄貴の声色に、さっきからしているめまいがひどくなったような気がした。
「ご、ごめんなさい……」
思わず、あたしがクビをすくめると、兄貴は子供を怒るように、めっ、と顔をしかめた。
「しかも、今回の怪我は、愛莉が思っているより酷いんだからね?
太い血管が一本切れてるし、乱暴に扱ったら良くないって直斗と医者が口をそろえて言ってたぐらいだし」
「加月さんの怪我ってそんなに、酷かったんですか?」
兄貴の言葉に。
思わず、って感じで、岸君が口を挟んだ。
その声に、兄貴が初めて岸君を、真正面から見た。
「誰だ、お前は」
岸君のつぶやきを聞いていたかのように。
兄貴は、すぐあたし達を見つけると、まっすぐこっちに向かって歩いて来た。
そして、その声があたしを呼ぶ。
「……愛莉」
いつも、あたしと一緒にいる時に聞く、優しい、少し甘えた感じの話し方じゃない。
どちらか、というと、よそ向きの、低い声だ。
……これは、相当、怒ってる。
「今日の放課後、一緒に病院に行く約束だったよね?
僕は、約束をすっぽかされることが、一番キライだ」
しかも、怒鳴らないだけ、迫力増してるんですけど。
めったに聞かない兄貴の声色に、さっきからしているめまいがひどくなったような気がした。
「ご、ごめんなさい……」
思わず、あたしがクビをすくめると、兄貴は子供を怒るように、めっ、と顔をしかめた。
「しかも、今回の怪我は、愛莉が思っているより酷いんだからね?
太い血管が一本切れてるし、乱暴に扱ったら良くないって直斗と医者が口をそろえて言ってたぐらいだし」
「加月さんの怪我ってそんなに、酷かったんですか?」
兄貴の言葉に。
思わず、って感じで、岸君が口を挟んだ。
その声に、兄貴が初めて岸君を、真正面から見た。
「誰だ、お前は」



