俺様先生と秘密の授業【完全版】

 あたしを乗せて、発進しようとした、バイクを止めようと。

 前輪の側面に飛び出して来た直斗と、岸君でもみ合いになった。

「放せよっ……!
 あんたが、加月さんと付き合いたくないんだったら、もう、関係ないだろう!
 オレ達のコトは、放っておけよ!」

「ヒトのキモチも、知らないクセに……!」

 岸君の声に、直斗も負けずに怒鳴った。

 そして。

 とてもとても、小さな声で。

「つき合いたくない、んじゃなく!
 つき合いたくても、つき合えないんだよっ!」

 と、囁いたのは……聞き違いだったのか、な?

 ただ、はっきりと聞いたのは。

「今、ここから愛莉を連れて出て行ったらだめだっ!」

 っていう、直斗の怒鳴り声だった。

 なぜなら。

「狼が来たぞっ……!」

 そう。

 この。

 海岸の集会所に。

 新たに、ほとんど音もなく入り込んで来たのは……

 ……兄貴が率いる、沈黙の狼だったから。