俺様先生と秘密の授業【完全版】

 そんな。

 ぐしゃぐしゃになってしまったあたしの心の上に。

 強い声が、入ってきた。

 岸君の、声だ。

「早瀬倉! てめ!
 オレの邪魔は、するって宣言したクセに、なにワケ判らないこと言ってるんだ!
 加月さんが好きだから、オレと勝負をするんじゃないのか……?」

 加月さんが、泣いちゃったじゃないか、と。

 岸君が吼えた。

 クラスメートの前にいた時よりも。

 天竜組を相手にしていた時よりも。

 もっと真剣な顔して、岸君が叫ぶ。

 そんな、熱い、岸君の言葉に。

 直斗は、自嘲気味な……でも、少し寂しそうな顔をして、ぽつり、と言った。

「……オトナの事情ってヤツ?」

「ふざけんなっ!!!」

 岸君は、力の限りに叫ぶと、涙の止まらないあたしをぎゅ、と抱きしめて。

 直斗の目の前から、さらうように、あたしを自分のバイクの後ろに乗せた。

「オトナの事情?
 自分がガッコのせんせーだからとか、そんなくだらない事情で、加月さんを泣かすならオレの方が、さらってやる!」

「待て、岸!」

「誰が待つかよ! 莫迦野郎!」