『あのね、静菜』
走り出した車内で、お母さんは運転しながらあたしに話を始めていく。
『お父さんのことだけど。あの家も売って群馬の実家に帰ったわ。だからもう会うことはないと思う』
『えっ?』
お父さんが?……
『だからもう一人であの辺りには行かないで。遥ちゃんと遊ぶ時はお母さんが遥ちゃんを送り迎えしてあげるから。だからこっちに来てもらいなさい』
『なんで?』
『いいからお母さんの言うことを聞きなさい』
一方的にそう言ったお母さんの言葉は、ただの自分勝手にしか聞こえてこない。
お母さんはあたしがあの辺りに行って、圭と関わり続けることがきっと心配なだけなんだ。



