…〜…ふゎ…〜…



風に乗って香ってくる、甘ったるい香水の匂い。



「……琴華」



今、一番会いたくない奴の香水の匂い。



「冬可!」



この甘ったるい声も、

近くに寄る度に匂う…甘ったるい香りも、

今の俺を不機嫌にさせる要素は十分すぎた。



「うざい」



そう言って屋上を後にしようとした俺を引き留めたのは、琴華の「いいんだ?…どうなっても?」の言葉だった。