倉崎陵


25

職業 執事




なんで俺がそんな仕事
してるのかって?


そんなの俺が
知りたいくらい



別に俺だって
この仕事したくて
してるわけぢゃない




めんどくさいし


たまたま俺の
生まれた家系が
執事の家系だったっていうだけで




「もうちょっと
早くこれないわけ?!」

…そう


こんなわがままで
自分勝手なお嬢様に
仕えたくて仕えてるわけぢゃない



ていうかこれ以上早くとか
普通に無理だし



「申し訳ございません」


キレそうになる
のをこらえて頭を下げる


「ん、

今日の夕食何?」
「今すぐご確認いたします」
「まだ確認してなかったの?」


…ムカつく




でも、キレるわけにはいかない


代々うちの家系が仕えてる
家のお嬢様だし




…俺だってこいつの
言うことききたくて
きいてるわけぢゃないけど



後でオヤジに怒られたりしたら
たまったもんじゃない


我慢するしかない



イラつきを必死で押さえて笑顔を作る




すっと慣れた手つきで
車の後ろのドアを開けると



ぶつぶつ言いながら
後ろの座席に座る



どうやら今日は
機嫌が悪いらしい