弥勒は、困ったように笑って背中をさするだけ。


その様子に、阿修羅がキレた。




【……認めない。】
『……。』
【俺は…っ、貴方が主だとは認めない!】



阿修羅は、主がこんな風に墜ちていく様を見たくなかった。

その一心で、わざとハッパをかけるような事を言っていたのだ。


たとえ、それで射殺されようとも元の状態に戻ってくれるならと、いつのまにか必死になっていた。

しかし…。



『貴方の期待にそえなくて、すみません。』



怒るどころか、阿修羅に向かって深々と頭を下げて来たのだ。
阿修羅は、目の前が真っ赤になるのを感じて…きつく拳を握り締めた。



【………!俺は、そんな言葉が聞きたいんじゃない!そんな、子どものために!!】
『私は…もう、あそこには戻らない。』



ジャキンッと音がしたかと思うと、畳の上にはカツラが作れそうなほど豊かでツヤツヤの髪が散らばっていた。