宵闇が迫った頃。

燈路と綺斗は、大通りに面した喫茶店に入った。
母親との待ち合わせに指定した場所である。


入口から見渡すと、隅の方に1人、ポツンと座っている女性を見つけた。

20代前半の若い女性だ。

燈路が子供を抱えて近づいていく。
綺斗はそこから動かず、腕組みをして入口の壁に寄りかかった。


「あなたが小崎さんですか?」


燈路が尋ねると、その女性──小崎は、マサヨを見やり、憂いを湛えた表情で会釈する。
こちらも会釈を返し、さっそく本題に入る。