「そうだ、二人共あがっていきなよ。今日は良い煎茶が届いたんだ……」

阿東の家のお茶はきちんと急須で入れるからなのか家のより上手い。
最初、ミユは不服そうだったが、高そうな茶菓子を出されて少し落ち着いたようだ。


「今日時間があったから葛餅作ってみたんだ。口に合えばいいけど……」

自家製……。


「私もチーズケーキとか、アップルパイとか作ったわよね?ね!」

何をムキになってんだ。


「家庭的なんだね。」

暢気に阿東もすっとぼけてる。


「そうね、ハルのご飯食べさせてたもの。私達、相性もいいし、いつでも暮らせるわよね?」

さっきからミユが妙なアピールをしてくる。


「いや、別れただろ……」


「でも、別れた後も……!」

余計なことは言うな、と口を手で塞いだ。